ランブリング:自然の中を歩く習慣の勧め

 ランブリングとは、気ままにそぞろ歩くことであり、イギリス国民がこよなく愛する習慣である。 特にスコットランドでは、古来より私有地の散策が認められており、ウォーキングは大変人気のあるスポーツであるという。
 イングランドで行われた大規模調査からは、 近隣に公園、森、広場、河畔などがある場所に暮らしているひとは死亡率が低ことが示された。また、自然豊かなレクリエーション施設の近くで暮らす人たちは、そうでない人たちに比べ精神的健康状態が良好であることも示された。韓国で行われた研究では、乳がんに罹患した女性たちが2週間森の中で過ごしたところ免疫系のキラーT細胞の数が増え、その効果は14日間持続した。また、未婚の妊婦が森林で胎教レッスンに参加したところ、うつ病や不安の状態が大きく軽減したとの結果もある。
 このような研究結果を受け、スコットランド政府は、 誰もが自宅から500メートル以内の安全な森に行けるようにすると宣言し、植樹と森の美化活動に注力している。韓国は、100億円相当を投じて、プールや温泉施設、全長50キロメートルのトレイルなどが整備された国立山林治癒院を建設している。日本にも、科学的な効果が検証された全国60箇所以上の森林セラピー基地が存在する。その効果は折り紙付きで、環境は整いつつある。あとは歩くだけである。
(フローレンス・ウィリアムス著、 栗木さつき・森崎マリ訳 「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方」より抜粋、一部加筆)

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