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ランブリング:自然の中を歩く習慣の勧め

 ランブリングとは、気ままにそぞろ歩くことであり、イギリス国民がこよなく愛する習慣である。 特にスコットランドでは、古来より私有地の散策が認められており、ウォーキングは大変人気のあるスポーツであるという。
 イングランドで行われた大規模調査からは、 近隣に公園、森、広場、河畔などがある場所に暮らしているひとは死亡率が低ことが示された。また、自然豊かなレクリエーション施設の近くで暮らす人たちは、そうでない人たちに比べ精神的健康状態が良好であることも示された。韓国で行われた研究では、乳がんに罹患した女性たちが2週間森の中で過ごしたところ免疫系のキラーT細胞の数が増え、その効果は14日間持続した。また、未婚の妊婦が森林で胎教レッスンに参加したところ、うつ病や不安の状態が大きく軽減したとの結果もある。
 このような研究結果を受け、スコットランド政府は、 誰もが自宅から500メートル以内の安全な森に行けるようにすると宣言し、植樹と森の美化活動に注力している。韓国は、100億円相当を投じて、プールや温泉施設、全長50キロメートルのトレイルなどが整備された国立山林治癒院を建設している。日本にも、科学的な効果が検証された全国60箇所以上の森林セラピー基地が存在する。その効果は折り紙付きで、環境は整いつつある。あとは歩くだけである。
(フローレンス・ウィリアムス著、 栗木さつき・森崎マリ訳 「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方」より抜粋、一部加筆)

自然が心身に及ぼす効果の検証

 1980年代、建築家でもあった心理学者、ロジャー・ウルリッヒは、「なぜドライバーは遠回りになっても、わざわざ並木のある車道を走りたがるのか」疑問に思った。実験を行った結果、自然の風景のスライドを見せると、無機質なビルが並ぶ都会の風景を見せた場合に比べ、 リラックスを示すアルファ波が増加すること見出した。自然の風景は、ストレスからの回復に役立つことを示したわけである。
 現在では、自然の中で行う散歩が心身に様々な良い影響を与えることが確かめられている。感情調節機能について研究するジェームズ・グロスは、都会の中を歩いた参加者に比べ、自然の中を歩いた参加者は、記憶力や注意力が向上し、悲観的な思考を行う際活性化する、膝下前頭前野の血流が大きく減少することを見出した。日本の生理人類学者である宮崎良文は、森の中をゆっくり散策すると、都会を歩いている時に比べストレスホルモンであるコルチゾールが16%下がることを見出した。その他、交感神経活動や心拍数、血圧をも下げる効果が認められた。質問紙調査では、気分が良くなり不安感が軽減するという。環境医学を研究する免疫学者である李卿は、東京在住のビジネスマンを森に連れて行き、 2~4時間程度の ハイキングを3日間行ったところ、NK細胞(ナチュラルキラー細胞:がんの発生予防、細菌およびウイルス感染予防に大きな役割をはたす白血球の一種)活性が40%増加し、その効果が七日間持続することを見出した。このように、自然の中で過ごすことは、心身に様々な健康増進効果をもたらすことが、科学的な手法により確かめられている。
(フローレンス・ウィリアムス著、 栗木さつき・森崎マリ訳 「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方」より抜粋、一部加筆)

アンケート調査記録のお願い

 Fitbitを使ったアクティブトラッカーの研究に参加している方は、下記の日程(2週間おき)で主観評定(GHQ30)の記録にご協力ください。

11月27日 12月11日 12月25日 1月8日 1月22日 2月5日 2月19日
日程はいずれも土曜日。

GHQ30記入の際は、日付と氏名のみご記入ください。氏名はfitbitアカウントに用いているメールアドレスの、@より前の部分(fit01, bunfit06など)をご記入ください。記入し終えたGHQ30用紙は、担当教員(畑・正保・長野のいずれか)にご提出ください。
 またその際、こちらのフォームから自然・運動・幸福感に関連するアンケートに併せてお答えください。