心理サイエンス基礎演習1-01

ガイダンス
本授業では、心理学の研究に役立つであろう、様々な情報技術を学びます。その内容は、CG、VR、プログラミング、電子工学、デジタルファブリケーションなど多岐にわたります。しかし、なぜこれらの技術を学ぶ事が大切なのでしょうか?身近な目的で言えば、心理学の研究に役立つからです。これらの技術を学ぶことで、皆さんはより独自性の高い卒業研究を行う事ができるようになるでしょう。一方でより大きな目的としては、心理学とこれらの技術を組み合わせることで、様々な社会問題を解決する能力を、実地で養うことを目的としています。ご存知のとおり、時代の行く先は見えにくくなっています。新しいテクノロジーと心理学を組み合わせ、社会を切り開いていく人材を、世界は求めています。

↓電子工作・3Dプリンティングを組み合わせて新しい研究を模索する卒論学生

心理サイエンスコースの主なコンテンツ
扱う課題は多岐にわたりますが、その内容は大まかに言って、

1.フィジカルコンピューティング(電子工作)関連
2.デジタルファブリケーション関連
3.CGとゲームエンジン関連
4.VR・ARとAI

の3種類に分けられます。

フィジカルコンピューティングは、普通のパソコンではなく、低コスト(数百円~数千円)の、手のひらサイズのコンピュータを使って、いろいろ便利で面白いものを作ってしまおうという手法です(参考1参考2)。具体的に言えば、Arduinoという3000円程度の手のひらサイズコンピュータに、様々なセンサーや表示デバイス(LEDや液晶モニタなど)を組み合わせ、簡単な測定装置やオモチャを作成する方法を学びます。一見マニアックにも思えますが、Arduinoを用いた電子工作は、現在世界中で流行っており、オモチャから仕事で使う道具類のプロトタイプまで、実に様々なものが作成されています(事例1事例2)。IoT(モノのインターネット)のような最新技術を取り込み、世界を変えうる様々なイノベーションが、フィジカルコンピューティングの世界から生まれています。


デジタルファブリケーション
とは、デジタルデータとして作成された設計情報にしたがい、工作機械が自動でものを加工・生産する仕組みのことです。最も有名な例は3Dプリンタですが、これは溶かしたプラスチックをケーキのホイップのように積み重ね、自在な形を作成する機械です。逆のバージョン、削り出しを行う機械もあります(CNCとかミリングマシンと呼ばれます)。実験室では、銅箔の貼られた板に溝を掘ることで、電子回路を作成する装置をよく使います。IoT対応の小さなコンピュータと、ミリングマシンで作成された電子回路が組み合わされ、3Dプリントされたケースに搭載されます。こうして作成されたローコストのミニ計測器は、現在様々な企業や研究機関との共同研究に発展しています。これらの技術は、心理学の未来を大きく変えていく潜在的な可能性をもっています。

(左から、3Dプリンタ、ミリングマシン、切り出された基板、計測器)

本学で開発されたポータブル発汗計測器↑は教育効果測定の研究に応用されている。

CGとゲームエンジンもまた、注目すべきテクノロジーです。3DCGとVRは、よりリアルな感情体験を生み出すものとして、注目を集めています。ゲームエンジンと組み合わせることで、様々な新しい実験を行うことができるようになります。エアロバイクとCGを組み合わせることで楽しく運動できるようになる装置の開発や、VR空間内で握手をすることによってキャラクタへの親しみは強められるのか?あるいは、VR空間内のキャラクタを攻撃することで罪悪感は生じるのか?など、様々な研究に応用されています。ゲームエンジンなどというと遊んでいるようにも聞こえますが、心理学の科学的な検討には今すぐ取り入れたほうが良い、大切なスキルと言えます。

 上記の中で、まず最初に皆さんに体験いただくのは、ゲームエンジンUnityの入門です。興味が出た方は、Unityのインストールのページに目を通しておくとよいでしょう。

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