心理学専門演習Ⅳ-03

前回授業へのコメント
 (本年度は対面形式でコメントいたします)

生理心理学トピック紹介(2)
 今日は、日本生理心理学会が発行する研究雑誌である生理心理学と精神生理学から、2019年の生理心理学の実社会応用特集を紹介します。

生理心理学の実社会応用
 生理心理学を実社会の課題解決に応用しようという試みは、自動車産業、医療やヘルスケア産業、映画やゲームなどエンターテインメント産業、観光産業などの幅広い分野で行われている。このような動向は、生理心理学会のテーマとして繰り返し取り上げられてきた経緯からも明らかだが、その背景には様々な技術革新が生理心理学のあり方を変化させてきている背景がある。
 第一の技術革新は、計測機器の小型化やスマート化であり、生体計測を応用した様々なウェアラブルデバイスが開発されている。これらの技術や商品は、従来実験室の中だけで行われていた生理心理学的研究を、多くの場面で可能とし、生理心理学の適用範囲をひろげて、生態学的妥当性の高い状況での研究を可能にしている。具体的には、他者とのコミュニケーション場面,授業や講演,スポーツ観戦などの集団行動場面といった社会環境を対象とした研究も可能になる。
  第二の技術革新は、解析技術の進歩であり、コンピュータの処理速度の上昇とともに,計測された膨大な量の生体情報から、より多くの有益な情報を抽出することを可能にし,心的活動に対応する新しい指標の発見も可能となりつつある。さらにそれらのデータをAI(機械学習)と組み合わせることで、生体データからストレスや疲労,感情といった心理・生理状態の自動推定の試みがなされ、基礎・応用研究に新たな一面を切り開きつつある。
 本特集は、使いやすい道具設計への脳波測定の応用可能性を検討した身体に馴染む道具設計指標としてのmu律動抑制、小型の自作生体情報計測器を同時に多数用いることで授業評価を試みたIoT皮膚コンダクタンス測定器を用いた授業評価、警察における虚偽検出検査の視点から生理心理学の社会応用可能性を論じたポリグラフ検査から見た生理心理学への期待と課題、の3本で構成されている。

リアクションの回収と来週の準備
  出欠記録を兼ねたリアクションの回答を原則として当日中に記入してください。リアクションは出席チェックを兼ねていることにご注意ください。