卒論-09

前回授業課題への報告 
 今日は東京都の感染者数は107人で、今後何らかの再自粛は避けがたいように思えます。いまのところ本学では夏休み中の校舎開放なども予定されていないようです。また、他大学からは後期も全てオンラインで行う事が決定した、などの情報も聞こえてきます。総合的に判断して、生理指標を測定する卒論は、おそらく不可能と思われます。皆さんも、Web上での卒業研究を、そろそろ本気で考える必要があると思います。前回提出いただきました課題に対するコメントを以下に記述します。


全般
・方法部分を設け、どのような実験を行ったのか簡単にでも書いてくださると良いと思います。
・一部の方が行っているように、感情変化に影響をあたえる人格要因を、質問紙で調べると良いと思います。できれば下位因子がいくつかあるものの方が、分析に幅ができます。
・研究計画で何を明らかにしたいのか、仮説を書けるようにしておきましょう。
・「PAに比べてNAが高かった」のように、異なる感情を比較することは体重と身長を比較するがごとき無理がありますので、各感情がシーンによってどのように異なるかを検討するようにしてください。


齋藤千愛さん
 同じデータに関して表とグラフを作成することはありません。グラフだけで良いと思います。PA/NA/CAのグラフは別にしたほうが良いと思います。サンプル数が十分にとれれば、1.共感性の高さによって、感情喚起動画を見た際の感情に実際に差は生じるのか?、2.共感性の内、特にどのような要因が感情の喚起に影響を与えるのか、が検討できます。具体的には、共感性が高い群と低い群に分け、PA/NA/CAのグラフを描きます。現在の構成でサンプル数が20-30ほどあれば、卒論として成立するのではないかと思います。


石川さん
 PA/NA/CAのグラフは別にしたほうが良いと思います。実験刺激により喚起された感情が、楽器によるのか、曲調によるのか、という問題をどのように処すればよいか気になりました。全て同じ曲とするか、あるいは同じ楽器でも何種類か曲を用意するとか?音楽聴取時の感情反応に影響する人格要因を質問紙で調べるとやはり良いように思いました。論文を読んで、使えそうな質問紙を探して下さい。


漆師さん
 基本的に記述法などは必要にして十分と思います。サンプル数はいくつだったのでしょうか。ハーディネスによって感情変化がどのように異なるのかについて、仮説を明らかにしておくこと、それが明らかになることでどのように社会に役立つのかも考えて置くと、序論が書きやすくなると思います。基本的にこのまま進めて大丈夫なように思います。


斎藤渚さん
 全滅になっている動画で、PAが最大なのが気になるといえばなりますが、他には「やはり全滅するとNAが大きくなる」「CAはどの条件でもほとんど一緒」「同じ死ぬでも回線が原因の場合は感情変化は抑制される」などの考察ができそうだと思いました。ゲーム経験の高い低い、センセーションシーキング傾向などを調べると良いかもしれません。日本語版センセーション・シーキング尺度というのがあるらしいです。


丸山さん
 PA/NA/CAの因子得点を求めて下さい。シーン1、シーン2、シーン3がどのように異なるのかを明確にする必要があるように思います。また、音楽聴取時の感情反応に影響する人格要因を調べる質問紙はやはり必要だと思いました。なにか良いものが見つかると良いのですが。論文を探してみて下さい。


今後の展開
 Web卒論であることがある程度確定したとなると、むしろ時間的には余裕が出ます。参加者は、卒論関係者(我々)と私の授業の受講者にお願いして集めることになろうかと思います。動画だけでなく、Unityを用いた実験も、内容によっては可能だと思います(実験刺激がうまく動かない場合はChromeかFirefoxの最新版をお試し下さい)。他にもマスクの色による印象変化の実験を計画中です。少し時間ができたので、動画実験がいまひとつだと考える人は検討してみてください。Unityがわからない場合は、心理サイエンスコースの授業で学習できます(たぶん)。

リアクションを送って下さい
 前回の課題を提出した方も、しなかった方も、今後どのように卒論をすすめていくか方針をお示しください。「このままやってみる」or「考えて変更してみる」どちらでも、まだ大丈夫だと思います。「ちょっとデータを増やしてみたい」という方は、生理心理学実験(20名)or専門演習(20名)でお願いてみますので、リアクションにそう書いて下さい。卒論の提出期日はおそらく変えられないと思うので、いずれにしても12月中旬までには、データの取得と執筆を終えねばなりませんので、各自準備を進めて下さい。
卒業論文リアクション